牛肉


写真提供 : MLA Sydney
日豪両国政府による共同研究(日豪貿易経済枠組みに基づく共同研究 [2005年]: 英文 / 和文概要)では、オーストラリア産牛肉への輸入関税を即時全面撤廃した場合でも、日本の牛肉生産は2020年までに1.6パーセント増加すると推計されています。こうした増加予想は、日本の牛肉産業の生産性向上、及び全体的な牛肉消費量の増加によるものです。
この共同研究では牛肉の自由化により、日本の牛肉輸出(世界向け)が19.9パーセント増加する一方、オーストラリアの牛肉輸出(世界向け)の増加は3.3パーセントにとどまることも示されました。このような大幅な輸出増は日本の牛肉産業にとって大きな収入増となります。
日本の牛肉産業にEPA/FTAがもたらす恩恵は、効率的な牛肉生産者だけでなく消費者にも及びます。オーストラリアとのEPA/FTA は、日本の消費者に安全で手頃な価格の牛肉を届けられるでしょう。
重要なことは、EPA/FTA が食料の安全保障上の懸念を払拭することです。オーストラリアは現在日本の牛肉消費量全体の40パーセント強を供給しています。日本の食料安全保障政策(2005年度食料・農業・農村基本計画)によると、牛肉の目標自給率は39パーセントとなっています。つまり、国内消費全体の61パーセントを輸入牛肉が占めることになりますが、オーストラリアとのEPA/FTAにより、日本は輸入牛肉の確保をより確実にすることができます。
オーストラリアは50年以上にわたり日本に牛肉を安定的に供給してきた実績があります。BSE(狂牛病)やFMD(口蹄病)が発生していない唯一の生産国としてオーストラリアの牛肉は高い評価を受けています。その結果、オーストラリア牛肉は日本の輸入牛肉の高いシェアを占め、日本の食料安全保障に貢献しています。オーストラリアでは、日本向けに輸出される牛肉の半分近くの量は、日本企業が一部または全面出資する施設で生産されています。このような日本企業の出資を通して両国の企業は強力なパートナーシップを築き、長年にわたり、日本の消費者の嗜好や市場のニーズを満たす牛肉を提供すべく共に努力を重ねてきました。 (オーストラリア牛肉の安全性についてはオージービーフ&ラム公式サイトをご覧ください。)
日本の牛肉産業は改善とブランド化を推し進め、オーストラリア産牛肉との差別化を図ってきました。日本の消費者はこうした差別化による牛肉の違いを認識し、メニューや食事の目的、予算により牛肉の選択を行っています。日本の市場ではオーストラリア産牛肉と国産牛肉の棲み分けが進んでおり、相互の補完性は全体的な牛肉消費量の伸びに貢献しています。
日本は牛肉市場を部分的に自由化してきました。こうした自由化措置は、生産向上や牛肉産業の強化につながってきました。2007年に農林水産省は、関税引下げや加工・投資条件の簡素化、肉用子牛の生産安定化等の諸政策により国産牛肉の生産は増加し、これに伴い牛肉消費量や牛肉の輸入量が増加したと述べています(平成19年2月26日農林水産省の経済財政諮問会議EPA・農業作業部会への提出資料より)。牛肉生産者の数は全体で減少していますが、自由化による競争の高まりで牧場あたりの平均飼養頭数は154パーセント増え、規模の経済による生産性の向上が図られています。牛肉市場の自由化が進めば、さらに効率と生産性の向上が見込まれます。